2025.03.27
1. 年金はどう変わるのか
田中さん(63歳・女性):「再婚すると、遺族年金は受け取れなくなるんですか?」
専門家:「はい、再婚すると遺族年金の受給資格を失う場合があります。ただし、事実婚の場合は異なる点があります。」
再婚の場合の年金
✔ 遺族年金:再婚すると、原則として受給資格を失います。
✔ 新しい配偶者の年金:新しい配偶者が厚生年金に加入している場合、一定の条件を満たせば加給年金の対象となることがあります。
✔ 年金分割:離婚時には年金分割制度が適用される場合がありますが、再婚自体は直接関係しません。
事実婚の場合の年金
✔ 遺族年金:法律上の婚姻関係ではないため、基本的には受給資格に影響はありません。ただし、事実婚関係が公的に認められた場合、受給資格を失う可能性があります。
✔ 加給年金:事実婚のパートナーは、加給年金の対象と認められる場合がありますが、審査が必要です。
田中さん:「事実婚でも、状況によっては遺族年金が受け取れなくなる可能性があるんですね。」
2. 健康保険の違い
山田さん(58歳・男性):「私は会社員ですが、再婚相手を扶養に入れることはできますか?事実婚だと難しいでしょうか?」
専門家:「健康保険の扶養に関しても、再婚と事実婚で扱いが異なります。」
再婚の場合の健康保険
✔ 扶養家族:法律上の配偶者として、健康保険の扶養に入れることができます。
✔ 保険証:配偶者として保険証が発行され、医療費の自己負担軽減などの恩恵を受けられます。
事実婚の場合の健康保険
✔ 扶養家族:事実婚でも、生計同一関係が認められれば扶養に入れる場合があります。ただし、認定には各保険組合の判断が関与します。
✔ 必要書類:事実婚関係を証明するために、住民票や第三者の証明書などが求められることがあります。
3. 離婚による年金分割
佐藤さん(60歳・女性):「離婚した場合、年金はどう分けられるんでしょうか?」
専門家:「離婚時には、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を分割する『年金分割制度』があります。」
年金分割の種類
✔ 合意分割:夫婦の合意または裁判所の判断で、婚姻期間中の厚生年金記録を最大50%まで分割できます。
✔ 3号分割:平成20年4月1日以降の第3号被保険者期間(専業主婦など)の厚生年金記録を、当事者の請求により2分の1ずつ分割できます。
手続きのポイント
✔ 請求期限は離婚日の翌日から2年以内
✔ 合意分割の場合、夫婦間の合意が必要
✔ 3号分割は当事者の一方からの請求で手続き可能
佐藤さん:「離婚後の生活を考えると、年金分割は重要ですね。」
4. 再婚を選ぶ場合の手続き
田中さん(63歳・女性):「再婚する場合、具体的に何をすればいいですか?」
専門家:「手続きの流れをご説明します。」
年金の手続き
✔ 年金事務所での婚姻届の報告
✔ 遺族年金の受給停止手続き(該当する場合)
✔ 新しい配偶者の年金情報の確認
✔ 加給年金の請求手続き(配偶者の年齢や条件に応じて)
✔ 年金受取口座の変更手続き(必要に応じて)
健康保険の手続き
✔ 勤務先での扶養追加手続き(健康保険の被扶養者として登録)
✔ 新しい保険証の発行申請
✔ 医療機関への登録変更(保険証変更に伴う手続き)
✔ 給付金や医療費還付金の受取口座変更(必要に応じて)
田中さん:「手続きは色々ありますね。でも、ちゃんと制度を利用できるのは安心です。」
5. 事実婚を選ぶ場合の手続き
山田さん(58歳・男性):「事実婚の場合、何か準備しておいた方がいいことはありますか?」
専門家:「はい、事実婚の場合は法律婚とは異なるため、特に契約や手続きが重要になります。」
年金対策
✔ 遺族年金の継続確認(事実婚関係が公的に認められると受給資格を失う可能性あり)
✔ 個人年金の活用(公的年金以外の収入源を確保)
✔ 配偶者の年金情報を確認(加給年金の対象となるかチェック)
健康保険の手続き
✔ 扶養認定の申請(保険組合によっては扶養に入れる場合あり)
✔ 個人での医療保険加入(健康保険の恩恵を受けられない場合のリスク対策)
✔ 緊急時の医療費対策(貯蓄や医療保険の見直し)
山田さん:「事実婚の場合、法律で守られていない部分があるので、しっかり準備しておくことが大切なんですね。」
6. まとめ:制度を理解して最適な選択を
専門家:「再婚でも事実婚でも、社会保障の違いを理解し、それに合った対策を講じることが重要です。」
大切なポイント
- 現在の年金受給状況の確認(遺族年金・加給年金・老齢年金)
- 健康保険・扶養関係の確認(扶養に入れるかどうか)
- 老後の収入・医療費の見込みを計画(公的年金+個人年金+貯蓄)
- 年金分割の手続きを正しく行う(離婚時の年金分割請求)
- 個人年金や貯蓄でリスクヘッジ(事実婚の場合の生活設計)