2025.03.28
1. はじめに:税金の違いに戸惑って
佐藤さん(65歳・男性):「退職金をもらって、これから再婚しようと思うんです。でも、税金のことを考えると事実婚の方が得なのかな?」
専門家:「税制上の違いは確かに大きいですね。具体的に見ていきましょう。」
2. 所得税での違い
佐藤さん:「退職後は年金暮らしになりますが、税金面で何か違いはありますか?」
専門家:「はい、特に大きいのが配偶者控除などの違いです。」
再婚の場合の所得税メリット
✔ 配偶者控除:配偶者の所得が一定以下なら最大38万円の控除が受けられる。
✔ 配偶者特別控除:配偶者の所得が一定範囲内であれば、段階的に控除が適用される。
✔ 医療費控除の合算:夫婦の医療費を合算して控除申請が可能。
事実婚の場合の所得税
✔ 配偶者控除の適用外:法律上の婚姻関係がないため、控除は受けられない。
✔ 個別の確定申告:各自が個人として確定申告を行う必要あり。
✔ 医療費控除の個別申請:医療費も各自で申告しなければならない。
佐藤さん:「再婚の方が税金面では優遇されるんですね。具体的にどのくらい違うんですか?」
専門家:「例えば、年収600万円の方の場合、配偶者控除を適用すると年間約7万円の節税効果があります。」
3. 贈与税の違い
中村さん(60歳・女性):「パートナーに生前贈与をする場合も違いがありますか?」
専門家:「はい、ここも大きな違いがあります。」
再婚での贈与税の特例
✔ 配偶者控除:婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産またはその取得資金を贈与した場合、2,000万円まで非課税。
✔ 基礎控除:年間110万円までの贈与は非課税。
事実婚での贈与税
✔ 配偶者控除の適用外:法律上の婚姻関係がないため、特例は受けられない。
✔ 基礎控除のみ適用:年間110万円までの贈与が非課税。
中村さん:「事実婚だと贈与税が高くなりそうですね。何か対策はありますか?」
4. 相続税での違い
佐藤さん:「相続の時の税金も違うんでしょうか?」
専門家:「はい、相続税でも大きな違いがあります。」
再婚での相続税の特徴
✔ 配偶者の税額軽減:配偶者は法定相続分または1億6,000万円まで相続税が非課税。
✔ 生命保険金の非課税枠:法定相続人1人あたり500万円の非課税枠あり。
事実婚での相続税
✔ 配偶者の税額軽減なし:法律上の配偶者ではないため、適用されない。
✔ 高い税率の適用:相続人以外への遺贈は、相続税率が高くなる。
5. まとめ:賢い選択のために
専門家:「税制上の違いを理解し、総合的に判断することが大切です。」
検討すべきポイント
現在の収入と税負担
- 年金受給額や給与所得の確認
- 配偶者控除・特別控除の適用可否
- 医療費控除の適用範囲
将来の資産移転計画
- 生前贈与の計画
- 遺言書の作成
- 生命保険や信託の活用
ライフプランとの整合性
- 老後の生活設計
- 医療費や介護費用の準備
- 子どもへの資産継承の計画