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夫婦別姓と事実婚 〜シニア世代が選ぶ新しいパートナーシップの形〜 | シニアの再婚と事実婚に関する相談室

夫婦別姓と事実婚 〜シニア世代が選ぶ新しいパートナーシップの形〜

2025.11.01

はじめに:変わりゆく家族のかたち

現代の日本において、結婚や家族のあり方は大きく変化しています。特にシニア世代の再婚や新たなパートナーシップにおいて、従来の法律婚にとらわれない選択をする方が増えています。その背景には、夫婦別姓(選択的夫婦別氏制度)への関心の高まりと、事実婚という選択肢の広がりがあります。

ソレイユ相続相談室にも、「再婚したいけれど姓を変えたくない」「子どもたちへの配慮から入籍は避けたい」といったご相談が増えています。本記事では、夫婦別姓と事実婚について、特にシニア世代の視点から、そのメリット・デメリット、そして必要な対策について詳しく解説します。

1. 夫婦別姓の現状と課題

日本の夫婦同姓制度の特殊性

日本は、法律で夫婦同姓を義務付けている世界でも稀な国です。民法750条により、婚姻時には夫または妻のいずれかの姓を選択しなければなりません。実際には、約96%のケースで女性が姓を変更しているのが現状です。

この制度は明治時代から続いていますが、現代社会においては様々な問題を引き起こしています。特にシニア世代の再婚においては、以下のような課題があります。

キャリアへの影響

長年築いてきた仕事上の信用や人脈が、改姓により影響を受ける可能性があります。特に自営業や専門職の方にとっては、屋号や職業上の名称変更は大きな負担となります。

アイデンティティの問題

長年名乗ってきた姓を変更することは、単なる手続き上の問題ではなく、自己のアイデンティティに関わる重大な決断です。「自分が自分でなくなるような感覚」を訴える方も少なくありません。

手続きの煩雑さ

運転免許証、パスポート、銀行口座、クレジットカード、不動産登記など、改姓に伴う手続きは膨大です。シニア世代にとって、これらの手続きは精神的・肉体的に大きな負担となります。

選択的夫婦別姓制度への期待と現実

選択的夫婦別姓制度は、夫婦が望めば結婚後も別々の姓を名乗ることを認める制度です。しかし、日本では長年議論されながらも、いまだ実現していません。

最高裁判所は2015年と2021年の二度にわたり、夫婦同姓制度を合憲と判断しました。ただし、「国会で論ぜられ、判断されるべき事柄」という意見も付されており、立法による解決が期待されています。

2. 事実婚という選択肢

事実婚とは何か

事実婚とは、婚姻届を提出せず、法律上の夫婦とならないまま、事実上の夫婦として生活することを指します。内縁関係とも呼ばれ、日本では成人人口の約2-3%が選択していると言われています。

シニア世代が事実婚を選ぶ理由は多様です。

姓を変えたくない

キャリアやアイデンティティを維持したいという理由から、事実婚を選択する方が増えています。

相続問題の回避

再婚により複雑になる相続関係を避けるため、あえて入籍しないケースがあります。前婚の子どもたちとの関係を考慮し、法的な親族関係を作らない選択です。

年金への影響を避ける

遺族年金を受給している場合、再婚により受給資格を失います。経済的な理由から事実婚を選択する方もいます。

事実婚のメリット

自由度の高さ

お互いの姓を維持でき、それぞれの家族関係も従来通り保てます。精神的な独立性を保ちながら、パートナーシップを築けることが大きな魅力です。

柔軟な関係性

法的な拘束が少ない分、お互いの意思と合意に基づいた関係を構築できます。「縛られない関係」を望むシニア世代にとって、理想的な選択肢となることがあります。

手続きの簡素化

婚姻届の提出や改姓に伴う諸手続きが不要で、関係の開始も解消も比較的シンプルです。

事実婚のデメリットと必要な対策

しかし、事実婚には法的保護の欠如という大きな課題があります。

相続権がない

事実婚のパートナーには法定相続権がありません。パートナーが亡くなった場合、遺産を受け取る権利がないため、遺言書の作成が必須となります。

配偶者控除が受けられない

所得税や相続税において、配偶者控除などの税制優遇を受けることができません。相続税に至っては、法律婚の配偶者なら1億6,000万円まで非課税ですが、事実婚では一切の控除がありません。

医療同意権がない

パートナーが意識不明になった場合、手術の同意などができません。事前に医療に関する委任状を作成しておく必要があります。

3. シニア世代のための実践的アドバイス

パートナーシップ契約の重要性

事実婚を選択する場合、パートナーシップ契約書の作成を強くお勧めします。この契約書には以下の内容を明記します。

• 共同生活に関する取り決め(生活費の分担、家事の分担など)
• 財産管理に関する取り決め
• 医療に関する代理権の付与
• 関係解消時の取り決め

遺言書と家族信託の活用

遺言書の作成

事実婚パートナーに財産を残すためには、遺言書が不可欠です。公正証書遺言により、確実にパートナーへの遺贈を実現できます。ただし、前婚の子どもたちの遺留分には配慮が必要です。

家族信託の活用

認知症対策として、家族信託は有効です。信託により、判断能力が低下してもパートナーの生活を守ることができます。受益者連続型信託を使えば、パートナーの生活を保障しながら、最終的には自分の子どもに財産を承継させることも可能です。

住民票の記載

事実婚でも、住民票に「妻(未届)」「夫(未届)」と記載してもらうことができます。これにより、事実婚関係を公的に証明でき、健康保険の扶養認定や遺族年金の請求(条件あり)などで有利になる場合があります。

任意後見契約の準備

将来の認知症リスクに備え、任意後見契約を締結しておくことが重要です。事実婚パートナーを任意後見人に指定することで、判断能力が低下しても、パートナーが財産管理や身上監護を行えるようになります。

    4. 社会の変化と今後の展望

    企業の取り組み

    近年、多くの企業が事実婚カップルにも法律婚と同等の福利厚生を提供し始めています。パートナーシップ証明書を提出することで、家族手当や慶弔休暇などが認められるケースが増えています。

    自治体のパートナーシップ制度

    全国の自治体でパートナーシップ制度の導入が進んでいます。法的効力は限定的ですが、公営住宅への入居や医療機関での家族としての扱いなど、実生活での利便性が向上しています。

    法制度改革への期待

    選択的夫婦別姓制度の実現に向けた議論は続いています。また、事実婚カップルの法的保護を強化する動きも見られます。フランスのPACS(民事連帯契約)のような、結婚と事実婚の中間的な制度の導入も検討されています。

    まとめ:自分らしい選択のために

    夫婦別姓を望む場合、現在の日本では事実婚が実質的な選択肢となります。しかし、事実婚には法的保護の欠如という大きな課題があることを理解しておく必要があります。

    シニア世代の再婚や新たなパートナーシップにおいて大切なのは、それぞれの価値観や状況に応じた最適な選択をすることです。法律婚、事実婚、それぞれにメリット・デメリットがあります。

    重要なのは、どちらを選ぶにしても、必要な法的対策を講じることです。遺言書、パートナーシップ契約、家族信託、任意後見契約など、適切な準備により、多くのリスクは回避できます。

    ソレイユ相続相談室では、お客様の状況に応じた最適なパートナーシップの形を一緒に考え、必要な法的サポートを提供しています。姓の問題、相続の問題、生活保障の問題など、総合的な視点から、あなたらしい選択を支援いたします。

    人生100年時代、新たなパートナーとの幸せな生活を実現するために、まずは専門家にご相談ください。あなたの想いを形にする、最適な解決策を一緒に見つけていきましょう。

     

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