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事実婚で相続権がないのは本当?パートナーに確実に財産を残す3つの方法 | シニアの再婚と事実婚に関する相談室

事実婚で相続権がないのは本当?
パートナーに確実に財産を残す3つの方法

2025.07.01

事実婚でも適切な準備で財産承継は可能

「15年間一緒に暮らしてきたのに、彼が亡くなったら私は何ももらえないの?」


これは、先日相談に来られた60代女性の切実な声です。事実婚のパートナーには法定相続権がありません。どれほど長く一緒に暮らしても、法的には「他人」として扱われるのが現実です。しかし、心配する必要はありません。遺言書、生命保険、家族信託という3つの方法を正しく使えば、法的な制約はあるものの、確実に大切な人に財産を残せます。

目次

  1. 事実婚に相続権がない理由と起こりうるリスク
  2. 対処方法①:遺言書でパートナーに財産を残す
  3. 対処方法②:生命保険でスムーズに財産を渡す
  4. 対処方法③:家族信託で生前から準備する
  5. 3つの方法をうまく組み合わせる戦略
  6. 成功事例における遺留分対策の重要性
  7. まとめ:事実婚でも大切な人に財産を残せます
  8. よくある質問

事実婚に相続権がない理由と起こりうるリスク

なぜ事実婚パートナーは「法的に他人」なのか

民法が定める「配偶者」とは、戸籍に婚姻届を提出した法律上の夫婦を指します。どんなに長く一緒に暮らしても、婚姻届を出していなければ法的には「赤の他人」です。法律婚では配偶者は必ず相続人になり、財産の半分から3分の2が保障されていますが、事実婚では一切ありません。

実際に起こった悲劇的なケース

Aさん(68歳)とBさん(65歳)は15年間事実婚として暮らしていました。Aさんには前妻の子が2人いましたが、ほとんど交流はなく、Bさんが持病のあるAさんを献身的に介護していました。

ところがAさんが急逝すると、前妻の子どもたちが法定相続人として3,000万円の遺産を各1,500万円ずつ相続。15年間連れ添い、介護まで尽くしたBさんの取り分はゼロでした。

事実婚で発生する3つの深刻なリスク

住む場所を失うリスクは特に深刻です。賃貸住宅では契約者が亡くなると住み続けられなくなる場合があり、持ち家でも所有権を相続できなければ立ち退きを求められる可能性があります。税金面では、法律婚の配偶者なら1億6,000万円まで相続税がかからない配偶者税額軽減が、事実婚では一切適用されません。配偶者居住権の設定もできず、小規模宅地等の特例も制限されます。

さらに見過ごされがちなのが、急病時の医療同意や認知症になった際の財産管理の問題です。法的な配偶者でなければ、医療機関や金融機関での手続きが困難になることがあります。

対処方法①:遺言書でパートナーに財産を残す

遺言書は、法律で決まっている相続のルールを変更できる強力な手段です。法定相続人以外の人に財産を渡すことも可能で、これを「遺贈」と呼びます。冒頭のAさんのケースでも、「全財産を長年連れ添った○○に遺贈する」という遺言書があれば、Bさんは法的に財産を受け取る権利を得られたのです。

なぜ「公正証書遺言」でなければならないのか

事実婚の場合、手書きの遺言(自筆証書遺言)は特に危険です。司法統計によると、自筆証書遺言の約15%は方式不備により無効とされています。事実婚パートナーへの遺贈のような内容の場合、相続人から「本当に本人が書いたのか」と疑われやすく、争いに発展するリスクも高まります。

公正証書遺言なら、公証人が作成に関与するため方式不備による無効はほぼ起こりません。公証役場で原本が保管されるため紛失の心配もなく、検認手続きも不要です。

避けては通れない「遺留分」の問題

法定相続人には遺留分という、最低限の取り分を請求する権利があります。前妻の子どもが2人いる場合、遺産総額の4分の1ずつ、つまり合計で半分の遺留分があります。

6,000万円の遺産を全て事実婚パートナーに遺贈しても、前妻の子どもたちが遺留分侵害額請求を行えば、各1,500万円ずつ支払わなければなりません。ただし、遺留分は必ず請求されるものではないため、遺言書に「なぜその人に財産を残すのか」の理由を丁寧に記載することが重要です。

対処方法②:生命保険でスムーズに財産を渡す

生命保険金は相続財産ではなく、受取人の固有の財産として扱われます。どんなに大きな金額でも、法定相続人は一切関与できません。

前述のAさんのケースで、もし3,000万円の生命保険にBさんを受取人として加入していたらどうでしょうか。Aさんが亡くなった瞬間に、Bさんは保険会社から直接3,000万円を受け取れます。前妻の子どもたちは、この3,000万円について何も言えないのです。

税制面での重要な注意点

生命保険金には「500万円×法定相続人の数」という非課税枠がありますが、事実婚パートナーは法定相続人ではないため、この非課税枠は適用されません

さらに、事実婚パートナーが受け取る保険金は「遺贈」として扱われるため、相続税が2割加算されます。

具体的な税負担例(保険金2,000万円の場合)

  • 法定相続人が2人いる場合の非課税枠:1,000万円
  • 事実婚パートナーの場合:非課税枠なし、2,000万円全額が課税対象
  • さらに相続税額の2割加算あり

それでも、現金で2,000万円を遺贈するより、生命保険を活用した方が手続きの確実性や迅速性の面でメリットがあります。

実践的な保険活用戦略

60歳のAさんが55歳の事実婚パートナーBさんのために保険に加入するケースを考えてみましょう。契約者と被保険者をAさん、受益者をBさんとして、保険金額3,000万円の終身保険に加入します。

ただし、事実婚パートナーを受取人にする場合、保険会社によっては以下の条件が求められることがあります

  • 同居期間の証明(住民票等)
  • 生計同一関係の証明
  • 保険金額の制限

年間保険料は約150万円程度になりますが、Aさんが亡くなった時点でBさんに確実に3,000万円が渡ります。

より大きな財産を持つ場合は、目的に応じて複数の保険を組み合わせる戦略も有効です。基本的な生活保障として終身保険、相続税の納税資金として定期保険、インフレ対策として変額保険といった使い分けができます。

対処方法③:家族信託で生前から準備する

家族信託は、生きているうちに信頼できる人に財産管理を託し、自分や大切な人のために使ってもらう仕組みです。従来の相続対策は「亡くなってから」の話でしたが、家族信託は「生前」から効果を発揮します。

事実婚カップルにとっての家族信託の価値

70歳のAさんと65歳のBさんの事実婚カップルの例で考えてみましょう。Aさんの財産7,000万円(自宅5,000万円+現金2,000万円)を信託財産として、信頼できる甥のCさんを受託者に設定します。受益者はまずAさん自身、Aさんが亡くなった後はBさんとします。

これにより、Aさんが認知症になっても甥のCさんが適切に財産管理を行い、Aさんが亡くなった後はBさんが受益者となって自宅に住み続け、信託財産から生活費を受け取れます。最終的に、Bさんが亡くなった後は残った財産がAさんの血族に戻る設計も可能です。

家族信託の3つの大きなメリット

第一に、遺言書の代替機能があります。信託契約で財産の行き先を決められるため、家庭裁判所での検認手続きは不要ですし、法定相続人の同意も必要ありません。

第二に、委託者が認知症になっても受託者が継続して財産管理できるため認知症対策として非常に有効です。従来の成年後見制度より柔軟で効率的な財産管理ができます。

第三に、複数世代にわたる段階的な承継が設計できます。第1次受益者を事実婚パートナー、第2次受益者をその血族、といった複雑な家族関係に配慮した継承プランを作れるのです。

家族関係では、前の結婚での子供への説明と同意を得ること、新しいパートナーの子供との関係作り、親族への報告と理解してもらうこと、相続が起きた時の連絡体制を整えることを行う必要があります。

3つの方法をうまく組み合わせる戦略

財産規模に応じた最適解

3,000万円以下の財産なら、遺言書と生命保険の組み合わせで十分効果的です。公正証書遺言で2,000万円、生命保険で1,000万円という配分にすれば、シンプルで理解しやすく、費用も抑えられます。

3,000万円から1億円の中規模財産では、3つの方法すべてを活用します。遺言書で3,000万円、生命保険で2,000万円、家族信託で3,000万円といった配分により、リスクを分散しながら税務上の最適化も図れます。

1億円を超える大規模財産では、これら3つの方法に加えて生前贈与も組み合わせた長期戦略が必要になります。

成功事例における遺留分対策の重要性

不動産賃貸業を営む65歳のAさんと8年間事実婚関係にある62歳のBさんの事例では、遺留分対策が重要なポイントでした。

総財産1億5,000万円の内訳

  • 遺言による遺贈:2,000万円
  • 家族信託:8,000万円
  • 生命保険:3,000万円
  • 相続開始前10年以内の生前贈与:2,000万円

    合計:15,000万円

遺留分の計算

1億2,000万円
(2,000万円(遺贈)+8,000万円(家族信託)+2,000万円(生前贈与)-3,000万円(生命保険))
  ※生命保険金は原則として遺留分計算に含まれないため除く
  合計遺留分:6,000万円(1億2,000万円×1/2)
  前妻の子2人の遺留分:各3,000万円(6,000万円÷2)

Bさんの実質取得額(相続時)

総取得:1億3,000万円(2,000万円(遺贈)+8,000万円(家族信託)+3,000万円(生命保険))
遺留分支払い:6,000万円
実質取得:約7,000万円

このように生命保険を活用することで、遺留分の影響を軽減できる効果があります。

    まとめ:事実婚でも大切な人に財産を残せます

    事実婚カップルには法的な保護が十分でないのが現状ですが、正しい知識と適切な対策があれば、法的な制約の中でも大切なパートナーに財産を残すことができます。

    重要なのは早めの対策開始です。複数の方法を組み合わせることでリスクを分散し、専門家との連携により複雑な問題を解決し、定期的な見直しで環境の変化に対応することが大切です。

    遺言書は確実性が高く手続きも比較的簡単ですが、税務効果は限定的です。生命保険は確実で税務効果も大きいものの、年齢や健康状態により制限がある場合があります。家族信託は最も柔軟で認知症対策にもなりますが、仕組みが複雑で費用もかかります。

    ソレイユ相続相談室では、事実婚カップルの財産承継を専門的にサポートしています。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。

    よくある質問

    Q1: 事実婚でも遺族年金はもらえますか?

    A: はい、条件を満たせばもらえます。生計を共にしていること、事実上の夫婦関係にあること、経済的に支えあっていることの3つの条件が必要です。ただし、法律婚より審査が厳しく、より多くの証明書類が必要になります。

    Q2: 遺言書で全財産をパートナーに残しても、子供に遺留分を請求されませんか?

    A: 子供には遺留分(本来もらえる分の半分)があるため、請求される可能性があります。ただし遺留分は必ず請求されるものではないので、遺言書に丁寧な説明を書くなど、理解を得る工夫が大切です。

    Q3: 生命保険の非課税枠は事実婚でも使えますか?

    A: いいえ、事実婚パートナーは法定相続人ではないため、生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人数)は適用されません。また、受け取る保険金は「遺贈」として扱われ、相続税が2割加算されます。ただし、手続きの確実性や迅速性では現金遺贈より有利です。

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